自動運転を実現していくために画像の解析などはじめ「AI:人工知能」が注目されていますが、自動車アフターマーケットのビジネスにおいてもAIを用いた実例が顕在化してきています。自動車の買い取り販売を積極的に行っている事業者であれば「AI査定」という言葉を聞いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

DMM.comが開始したDMM AUTOというサービスはスマホでクルマを撮影すると買い取り価格を提示するというものですが、その買い取り価格は様々なデータをもとにAIで算出し、ヒトが介在すること無くユーザーに提示されているそうです。

このDMM AUTOのサービスは当初の予定よりも順調に推移しており、一般の自動車ユーザー向けのみならず「DMM AUTO for BIZ」と名付けた事業者向けのサービスも開始しましたので興味のある方はWebサイトをご覧ください。

また、DMM.comが提供したシステムではありませんが業界紙には神奈川のトヨタ系ディーラーが買い取りにAIのシステムを導入したというニュースが掲載されたのをご存じの方も多いのではないでしょうか。

昨年、自動車リースを手がける日本カーソリューションズがNTTコムウェアとともにAIを活用しリース車両の膨大な自動車整備データの確認業務を自動化するシステムを発表していますし、AIを利用した需要予測をもとに自動車の配車を効率化するAIタクシーや、需要が発生したときに相乗りをすることを前提に決まったルートや時刻表を持たないAI運行バスのシステム商用化もNTTドコモから発表されています。

さらに三井住友海上火災保険が、自動車事故の責任割合の判断をAIがサポートすることで協定の時間を短縮するシステムの運用を開始したというニュースを見ても、至る所でAIが活用されていることがわかると思います。本質を見誤ってはいけませんので整理させていただきますが、AIの活用はあくまでも手段であって目的ではありません。

AIを活用したシステム投資をしても費用対効果が見込めるから前述のような取り組みが相次いで発表されているのであり、人材不足が叫ばれ業務の効率化などが求められている状況の中で経験や勘に頼っていた業務を、AIを活用したシステムによって補完していく流れは続くのではないでしょうか。

さらに、AIを活用していくことでDMM AUTOのように一般ユーザーの便益を高めることで異業種が参入してくることも増える可能性もあると思います。

従来の視座よりも一段高いところから自らの業務や業界の慣行を考え直さないと、新しい流れに取り残されるような気がする今日この頃です。


株式会社ジェイシーレゾナンス 代表取締役 松永博司
企画編集:三井住友海上火災保険株式会社 営業推進部・モーターチャネル推進チーム 
     エーシー企画株式会社