2024年になってから、昨対比を割り出した新車販売市場の回復が芳しくありません。

ホンダのように前年度比で多く伸張したメーカーがないわけではありませんが、2024年1月〜4月の累計でトヨタの▲25%をはじめマツダの▲40.5%、ダイハツに至っては▲86.2%という状況です。

長期的な視点に立てば、当然国内の新車市場も減少していくことになるでしょうし、サブスクリプションなどによる囲い込みをはじめ、電子化や電動化、通信機能の搭載率向上など、自動車アフターマーケット関連市場は影響を受けることは確かです。

足元の市況として新車が売れなければ当然、用品やカーディテイリングなど新車販売に付随する事業も市況が厳しくなっています。

一方で、新車がダメなら中古車が良いのではないかと考えますが、この円安で輸出事業者には恩恵がありますが、オークションで仕入れ国内で中古車販売を行うには大変な環境が続いているのではないでしょうか。

また、様々な業界の人材不足が賃上げに拍車をかけていますし、仕入れなければならない部用品や資材の値上げが続き、自動車アフターマーケットの関連事業の経営環境が悪化していると言っても過言ではないと思います。

自動車の販売が増えて、保有台数も拡大している中であれば、緑に見える芝生を探していけばいいのですが、自動車が売れず保有台数も横ばいの中で使用年数や車齢だけが伸びる、いわば自動車総資産の減少フェーズと言える環境になっては、事業の構造的な変革をしていかねばなりません。

しかし自動車アフターマーケット市場は、分業化と専門化で肥大して複雑に絡み合って構成されてきていますので、その構造改革は容易ではありません。

これから2024年後半にかけて、海外の情勢など予断を許さない状況が続きますし、為替も円安が続くことが予想されます。

このように不透明な先行きのなかで、法定需要に守られ、OBD検査が始まることでゲームチェンジの可能性を秘めた自動車整備には様々な事業者が参入するでしょうし、既存プレイヤーも注力してくるのではないでしょうか。

不透明な先行きだからこそ、「人材の確保」と「コンプライアンスへの対応」が事業継続の要諦なのです。

自動車アフターマーケット全体を取り巻く厳しい事業環境下で、少ない投資とリスクで収益が見込める新規事業を模索するような相談をいただくケースがありますが、特効薬になるような話はありません。

不透明な先行きだからこそ、自社の事業エリアの地に足をつけて、法人であれ個人であれ、自動車を利用して頂けるユーザーの安全と安心、そして便益につながる質の高いサービスを提供するために「人材の確保」と「コンプライアンスへの対応」へ投資すべきだと思います。

㈱ジェイシーレゾナンス 代表取締役社長 松永博司
リテールマーケット戦略部 MC推進チーム 企画編集/エーシー企画(株)FAX:03-3259-9505