(一社)全国レンタカー協会の統計によるとレンタカーの台数が増え続けていることがわかります。10年前と比較すると約1.8倍とのことですから、大きく伸びた市場と言えるのではないでしょうか。

一方で、レンタカーの多様化も進んでいるのは周知の通りです。「わ」ナンバーで行われるカーシェアリングも業法上はレンタカーですし、自動車整備や修理などの代車に利用する車両も「わ」ナンバー登録したレンタカーが増えました。

MaaSなどと言われ、所有から利用へと大きくトレンドが変化している自動車業界ですが、まさしく使いたいときに利用するレンタカーには追い風と言えると思います。

昭和な価値観の50親父でも、「わ」ナンバーに対する偏見も少なくなってきましたし、一昨年、自動車の修理を知り合いの自動車整備事業者にお願いした際に、「わ」ナンバーのポルシェ911(997)を代車としてお借りした時は、あまりのうれしさに数ヶ月間免許を失効するほどでした。

自分の話はさておき、先日開催させていただいた国際オートアフターマーケットEXPOで、「オートアフターマーケットでの鍵の運用が鍵になる」というタイトルのセミナーがありました。スマートフォンを自動車の鍵として運用する、バーチャルキーのシステムや運用に関する話があり、今後のレンタカーにはとても有用なソリューションだと感じました。

レンタカーが24時間、無人で貸し出しができるようになれば、工場代車として所有している車両も付加価値を生むようになるかもしれません。昨年末には、札幌のトヨタレンタカーが、期間限定でスマートフォンを鍵にした24時間のレンタカー貸し出し・返却サービスを行っており、実際、私も利用してきました。

早朝や深夜に到着するLCCへの対応のみならず、飛行機や電車で同時刻に到着した観光客がレンタカー店のカウンターで列をなしている光景を見れば、無人でスムーズに車両貸し出しが行うことができるようになる、バーチャルキーのポテンシャルの高さがわかると思います。

輸入車ディーラーで行っている、自社客へのインセンティブとして有利な条件を設定したレンタカーのサービスなどを見ても、多様化しながらビジネスとして進化していることを感じます。

ますます増えていくレンタカーによって、「わ」ナンバーの偏見がなくなると、リースで与信が通らないケースなどに対して、長期レンタカーというビジネスも拡がる可能性もあるのではないでしょうか。

自動車販売事業をメインにしているディーラーは大変かもしれませんが、サービスを主体にしているアフターマーケット事業者は、自動車を利用しやすい環境を作ることで走行距離を伸ばすことができるレンタカーに注力する価値はあると思います。


株式会社ジェイシーレゾナンス 代表取締役 松永博司
企画編集:三井住友海上火災保険株式会社 営業推進部・モーターチャネル推進チーム 
     エーシー企画株式会社